お知らせ
ウィーンの青空とホイリゲ
2008.10.06 [ 井林院長MonthlyTale ]
081006 10月朝礼訓示 #7
赴任して早くも6ヵ月が経ちました。4月当初には、誠愛病院ホームページのアクセス件数は12,000件にも満たなかったのですが、アッという間に2.5倍の30,000件を超えてしまいました。これからも若い方々のアイディアで新しい情報を増やし乍ら、少しずつ学術的なパートをも充実できるよう頑張って参ります。
さて10月に入り、朝晩の清々しさと共にめっきり秋らしくなってきました。昔から「天高く馬肥ゆる秋」とは申せ、天空はこの時期本当に高いのでしょうか?
「何故だろう、何故かしら」という幼少時代に読んだ本を想い出し繙くと、果たして、暑い日差しで空気も膨張し大きな入道雲を抱える夏の方が、よっぽど上空大気圏までの距離は長くて遠いらしいのです。秋になると朝晩の冷え込みで、空中の粉塵も引力により湿った地表に落ちてしまい、その結果、一段と青澄し透明化した大気が空を高く見せているというのが本当の処のようです。後半部分の意味は、草食動物は夏から秋にかけてシッカリ緑に覆われた牧草を食んでは、不毛の冬に備えて大きく育つということでありましょうか。しかし、、、これまた、何で馬だけなの?〜〜〜まあこれは、余り気にしないことにします、秋の味覚に誘われて、自分だって毎年いつもこの時期、体型が丸くなってしまいますので。
先月下旬には、欧米/アジアオセアニアが一体となって初めての、第6回世界脳卒中会議が美しい音楽都ウィーンで開催され、当院の臨床データを携え九大脳循環研究室との共同研究として、出張の機会を戴き発表して参りました;有り難うございました。過去の当院医局の先生方やリハビリ、看護部、福祉部ほかの職員皆の努力の賜物です。今後も定期的に、各部署から当院の臨床成績を世界に向けて積極的に発信して行ければと期待しています。学会の合間に、他大学の気の置けない仲間の先生方と、オペラ座公演やハプスブルグ家の宮殿など巡る機会にも恵まれました。アルチンボルドやクリムトの絵画鑑賞も楽しめ、今月中旬の病院機能評価再審準備を暫し忘れ、気分的にも充分に refresh することができました。
我国ではこの数年間、相変わらずインチキ臭い派閥政治の動きや、独りではなく他人をも巻き込んだ痛ましい事故が連日のように報道されています。皆と同じ制服を着て、自らの意志に逆らってまで周りに合わせた行動パターンを励行し、さらに流行りのものには挙って飛びついてしまうなど日本人独特の国民性は、質実剛健で伝統ある欧州の人々とはやはり大きな違いを感じざるを得ませんでした。澄みきった高い青空を見上げ、たった今この時期しか飲めない甘酸っぱいホイリゲ(白ワイン熟成直前の濁り酒?)を飲み交わしながら、他にはないどこか毅然とした特徴ある誠愛病院に変えて行ければと夢想したのでした。