福岡県大野城市にある回復期リハビリテーションに特化したリハビリテーション専門病院

誠愛リハビリテーション病院

   

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リ-ダー不在とサムライJapan

2010.07.02 [ 井林院長MonthlyTale ]

100705 7月朝礼訓示 #1007

沖縄では先月末に梅雨が明けましたが、福岡では博多祇園山笠の7/15の追い山が終わるまでまだ暫くは蒸し暑く雨の多い日が続きそうです。この鬱陶しい季節の変わり目に先んじて、それこそ前回のTaleを出した直後に、予想通りとはいえ日本国というコップの中の短命総理大臣がまた変わってしまいました。先日、脳卒中専門医試験監督の帰路途中に購入したベストセラーである塩野 七生女史の“日本人へ:リーダー編”のはじめの章に、「危機の時代は、指導者が頻繁に変わる。首をすげ代えれば、危機も打開できるかと、人々は夢見るのであろうか。だがこれは、夢であって現実ではない」というくだりがありますが、昨今の我が国の政治も正にそういう状況下にあるのかも知れません。新総理の「元気な日本を復活させる!」という参院選に向けたスローガンが、夢で終わらないことを強く希望し、国民全体もそう思っているのですから、今度こそは余り相手方の足を引張り合うことばかり考えずに、強力なリーダーシップのもと国を一つに纏めて是非「元気ある社会」を実現して欲しいと思います。思えば我々の親の世代の人達は、戦後の比較的短い期間に、兎に角全員が同じ陽の当たる斜面を目指しポジティブな夢を抱きつつ我武者らに坂を登り、さまざまな植樹を行ない夫々が大きく成長し結果的に見事な果実を結ぶよう、寝食を忘れ一生懸命かつ意欲的に働いて来られたように思います。然し乍ら撓わに実り、熟しすぎた果実が傷んで以降は(即ちバブルが弾けた20年程前)、それまで築き上げられてきたものがガラガラと音を立てて崩れ、日本人や日本国はその肉体だけでなく精神面においても腐ってきているように感じるのは私だけではないでしょう。毎日毎日、新聞を広げれば(最近はiPadで読む頻度が増えましたが)、辟易するような情けない記事や話題が満載です。政治も、経済も、社会/国際も、スポーツ(国技の筈の相撲界の野球賭博事件も、一部が生贄というか見せしめになっただけのようで何ともスッキリしません)も、とみに明るく楽しく元気の出るニュースが激減しているように思います。そんな中、唯一4年に1回開かれるFIFAワ−ルドカップサッカー(蹴球大会の最高峰と位置付けられ、テレビの視聴者数ではオリンピックを凌ぐ世界最大のスポーツイベントのようです)のサムライJapanには大いなる元気と感動を貰いました。惜しくもベスト8には駒を進められませんでしたが、日本国中の多くの老若男女が青色のシャツを着て頬には日の丸を描いて、夜中の中継であったにも関わらず、皆が一体となり純粋に応援している姿はチーム同様、活力に溢れ元気のでる光景でした。因に今朝時点で、ウルグアイ、オランダ、スペイン、ドイツの4カ国が今大会の世界一を争うことになりました。
半年程前の脳出血発症により、ほぼ左上肢完全麻痺と左下1/4半盲の入院中の患者さん(もと4年に一度のアートフラワー世界大会でチャンピョンの座に輝いた方)が、先日見事な作品を片手とホッチキスを駆使することで生けられて、 車椅子に乗って御自ら院長室まで持参して下さいました(写真)。当リハビリ病院の中にも、こんな元気の出る感動的な一コマが、其処彼処に見られるのです、、、患者さん皆さん一人一人の今まで歩んでこられた個人史と、忘れかけている或 は既に諦めていらっしゃる隠れた才能や得意技を、今一度思い出して戴くべく、何気ない会話から心地よい元気の出るマイヒストリーを引き出す役割も、我々医療人にはもっともっとあって宜しいのではないかと、毎週総回診をし乍ら最近つくづく思うのです。

患者さんが片手で生けられた見事なアートフラワー作品

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