お知らせ
脳梗塞慢性期治療の新規ヒント
2011.11.07 [ 井林院長MonthlyTale ]
111107 11月朝礼訓示 #1111
地球上の世界人口が 70 億人達成へのカウントダウンが始まります、、、というニュースから1
週間足らずの間に、既にその数を遥かに越え福岡市と同じ 145 万人も人口が増えてしまいまし
た。我が国の全人口は 6 年前の 2005 年がピークで、1.3 億人を超えずに年々減少傾向の最中、世界の global population は、毎日 20 万人ずつ増加している勘定になります(詳しくは、 up-to-date の以下のサイトをご覧下さい — http://arkot.com/jinkou/ )。
さて、先週は 91 歳の患者さんから、立派な額縁入りの私の似顔絵を2枚も頂戴しました(大分気を遣われて、洒落ではないですが2枚目に描いて下さいました:写真)。また、80 歳を超えるコミュケーション学専攻の某大学名誉教授でいらっしゃる女性患者さんからは、リハビリの方向性や今後の病院のあり方についての難しいインタビューを1時間半もお受けしました。当病院の看護やリハビリに関してお褒めの言葉を戴き恐縮しながらも、1960 年代初頭に若くして5年間も米国に留学され PhD(博士)よりも MS(どうやら洒落の様で、結婚することで Mrs ミセスの資格を選んだという意味のようでした)を取るためにご帰国なさった由、その後も長い間大学で教鞭をとって来られたそうです。明るい話題に欠くこの時代に、多くの患者さんから色々と積極的な生き方や前向きな物事の考え方、加えて人生のスパイスや元気を戴いています。
昨今、急性期の脳梗塞は発症 3 時間ないし 8 時間以内の極く数%の方々は、t-PA 静注血栓溶解や Merci、PENUMBRA といった最新式のデバイスで血栓を直接除去する治療法が確立されつつあります。然し乍ら、時間が数日経過してしまった脳梗塞患者への有効な治療法は未だに決定打がないのが現状です(先日、8年振りにソフトバンクホークスがリーグ優勝を果たしました!、、、関係なかったですね)。先週の脳循環代謝学会では、数日かけて梗塞巣周辺に生じる炎症のメカニズムと、それらを免疫抑制剤で治療する新たな治療戦略、iPS 細胞移植の可能性などが発表され注目を浴びていました。まだ若い我々の後輩の素晴らしいお仕事でしたが、久々に落ち着いた堂々たる文句の付け様のない受け答えの発表で、とても感心しました。脳梗塞発症後1日目と3—4日目をピークに、病巣部に集まってくる細胞(マクロファージとγδT細胞)からでるIL-23 と IL-17 というサイトカインが炎症を進展させて梗塞巣を広げるので、それを抑える一種の免疫抑制剤が治療に有望ではないかということ、さらに脳卒中後によく起こる肺炎にも関係しているのではないかという内容でした。飛躍しますが、震災後の瓦礫を撤去する際に、火をつけて広範囲に消却してしまう方法もありますが、残った部分を少しずつ丁寧に修復して回復に役立てるやり方だってある筈です。放射能の不活化だって単なる焼却や地下埋め立てでは問題解決せず、もっと別の思いもよらぬ違う方法を見つけなければなりません。地球の人口が増え、病気が治っていくのは良いことではあるのですが、地球環境改善は必ず しも追いついておらず、自然現象の猛威はこれからも益々強くなりそうで、悩ましいですね。
戴いた人物像
新しい脳梗塞治療