お知らせ
40年振りの同期会と老母の見舞い
2012.06.07 [ 井林院長MonthlyTale ]
120607 6月朝礼訓示 #1206
今年もまた梅雨の時期が近づいてきました。脳卒中週間や禁煙週間も過ぎましたが、昨今は 様々な週間が目白押しで、いつ何のイベントがあっているのか却って分かりにくい時代です。脳卒中協会は今年から、従来の「脳卒中予防十か条」に加え、再発予防の治療やリハビリの継続も大変重要であることを重視し、新たな10の標語から成る「脳卒中克服十か条」を発表しました。リハビリの コツはコツコツ 根気よく — 金星の太陽面通過にも言えそうでしょ(下記)。
先月末から日本リハビリテーション医学会学術集会(福岡市)、高血圧関連の全国研究会(東京都台場)、高校卒業40周年を記念した同期会(東京都新宿)が続けてあり、いずれも役割を仰せ付かっていたので楽しくまた充実した週末を過ごすことができました。高校卒業直後に東京から福岡に移り住むようになり、今までの不義理が祟ってそれこそ還暦近くになって初めての同期会出席でした。日曜日の午後に新宿三井ビル(通称黒ビル)最上階の54階で時間通りに開催されましたが、それぞれ忙しい中を集まった50名弱の同級生の凡そ1/3の方々は顔と名前が俄に一致しない状況でした。元より6年間で3→4クラスと生徒数を絞った学校(高1で40名の編入あり、卒業時には約180名の中高一貫私立男子校)でしたので、大概は覚えている筈なのですが、40年という年月による互いの様変わりを実感した次第です。数日前からオウム真理教逃亡犯の元信者が次々に逮捕されつつありますが、地下鉄サリン事件から17年しか経っていないのにあの顔貌の変わりようですから、40年振りに会う我々の場合には推して知るべしなのでしょう。然し乍ら若く多感な時期に、山林学校、海浜学校、スキー合宿、修学旅行後の全員謹慎処分事件など、野郎ばかり6年間一緒の飯を食った仲間内ですので、話せば直ぐに昔の記憶ファイルが次々に開帳され、昨日の事のように要らない内容まで思い出されてしまい、実に不思議な感覚で大変懐かしくかつ楽しい一時でした。
とくに大脳に障害を受けた脳卒中患者さんの場合には、斑に記憶が障害されることも少なくありませんが、写真や色紙を壁に貼るばかりでなく、ご家族が昔〜比較的最近のアルバムを見せて直接語りかけ乍ら説明したり、本人の気持ち次第ですが親しい友人との再会の機会を作って差し上げたりすることは、高次脳機能障害の回復に結構役立つのではないかと愚考する次第です。最近繰り返し入院している老母に、「中学高校時代の誰某君は今はとても立派になり、何処で誰と何をしている」といった情報を聞かせたり、懐かしい親戚に頼んで携帯電話での近況や四方山話に付き合ってもらったり、昨年まで同じ習い事をしていた親友の方が見舞いにいらしたりすると、急にシャンと身構えて顔つきまで凛となるのを見るにつけ、高齢者の廃用や病気で療養中の患者さんには、もっともっと身近な刺激が必要なのだろうと実感する此の頃です。