お知らせ
申年、赤い下着と認知症
2016.01.04 [ 井林院長MonthlyTale ]
160104 1月朝礼訓示 #1601
新年あけましておめでとうございます。比較的暖かなお正月、皆さん如何お過ごしになられたでしょうか?今朝も福岡市内は3月下旬並みの暖かさとかで、早朝の病院周辺は一面深い霧で覆われており、何やら幻想的な初出勤を経験させてもらいました。
早速ながら、申年として今年還暦を迎える年男の親戚に、昨年末に幸せを呼ぶ赤い肌着が届きました。実は私も知りませんでしたが、昔から「赤い下着を贈ると病が治る」、逆に「申年に贈られた下着を身に着けると健康になる」などの言い伝えが日本各地にあるのだそうです。申(去る)という意味から「悪いことが去る」「病が去る」など幸せを運ぶものとする説や、「めでたい赤色」と幸福とを結びつける説などが知られ、申年の申の日(1月は6日の日)に贈られた赤い肌着を身に着けると、呆けることもなく下の世話にならずに老後を健やかに過ごせるらしいのです。
一方で高齢化社会とともに、脳卒中や心臓病、術後の肺炎や認知症は絶えることなく、今年も多くの患者さんが当院でリハビリを受けられることと思われますが、精一杯回復期のお手伝いを続けて参りたいと考えます。とにかく口から食べて、リハビリで体を動かし、立って歩き、脳血流を増やして、優しく触れ合いコミュニケーションを交わしていく;これらが非常に大事なことです。この10年以内には人類が最も恐れる認知症の治療薬が世に登場する可能性が高まっています。新薬でなく、従来からある様々な薬剤がその候補として、世界各国で臨床試験段階に入っているそうです — 他の疾患で既に用いられているシロスタゾール、インスリン点鼻、レベチラセタム、イソプロテレノールなどが含まれます。同時に、認知症は脳卒中や心臓病と同様に予防することも可能な病態で、糖尿病/喫煙/運動習慣無しといったリスクを避ける必要があります。換言すれば、循環器病対策が認知症対策に繋がるというわけです。また、認知症ケアにはユマニチュード(Humanitude)という概念が重要で、見つめる/触れる/話しかける/寝たきりにしないといった 患者さんのストレスホルモンを和らげる行動療法や心理療法が奏功します。初めは難しくても、我々医療介護者自身が治療の中心となり 普段患者さんに接する際の行動や態度を変えることが必須で、只々手を変え品を変え多剤に頼るばかりで声掛けなしの診察や処置などを続けても上手くいかないのです(NHK 医療革命より)。
脳卒中、廃用症候群、認知症を始めとした患者の方々の生きる喜びを決して忘れてはいけません、、、当院の各部署職員ならびにEST、OCT、DCT、FCTなどのチームが一段と brush upして、楽しいリハビリ入院を過ごして戴けるようなシステムやヒト作りに知恵を絞り努力を継続しながら、理想的な新病院建設着工時期も視野に入れた現実的な1年のスタートを切りたいと思っています。今年もどうぞ宜しくお願い致します!