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まかせてみたい動かぬ体
2016.11.07 [ 井林院長MonthlyTale ]
161107 11月朝礼訓示 #1611
空気が凛と澄んで 夜間は星や月が綺麗に見える霜月に入りました;読んで字のごとく霜が降り出す旧暦月ということでシックリきますが、”そうげつ”と読ませれば 霜と月の光/霜が降りた夜の月の光など 晩秋〜冬前の風情を感じさせる表現にもなるようです。
来週の月曜日11月14日は天気が良ければ個人的にも大変嬉しいのですが、、、というのも今年の満月のうちで最も大きな「スーパームーン」の夜だからです。月の公転軌道が楕円であるため月〜地球との距離は約36万kmから40万kmの間で絶えず変化しており、来週の月曜夜の場合、20時20分頃に月が地球に35万6521kmまで最接近し、その約2時間半後の22時50分頃に少しだけ大きくなった満月が見られるというわけです。
先月、4年に1度開催される日本歯科医学会総会において 我が国初の女性宇宙飛行士向井千秋さんの特別招聘講演を拝聴しました。近々そのうち一般の人々も、実に気軽にあの月まで小宇宙旅行できる時代になるそうです(ロケット発射時に生じる3Gに耐えること自体は そう大変でもないらしいです)。ただ、問題なのは宇宙滞在期間にもよりますが、老化現象(osteoporosis, sarcopeniaなど)が進むのを覚悟して行かねばならない点です。これまで自分は ”重力”さえなければ、骨折や脳卒中後のリハビリはどんなにか楽だろうなぁと単純に思っていましたが、、、大きな間違いでした。重力に抗して立って生活しているからこそ、我々人間は筋肉や骨の量や強さや質が維持されるのであって、このGがないとあっという間に身体は老化してしまうということでした。宇宙飛行士への骨粗鬆治療薬投与はきわめて重要かつ有効であることや、重力がないと蝋燭の火もつかないこと、メダカも重心を失い上下左右も判らないまま泳げないこと、初飛行では誤嚥を危惧してcrew全員が吸引機を持参したこと、等々とても興味深く楽しい内容でした。
丁度ドイツから当院における講義/実技指導にみえていたカリスマ インストラクターのGerlinde Haase先生からも、リハビリでは重力をいかに自然に取り込み患者さんの関節の動きに応用していくかを教わりました。一方で余計な体重は、リハビリの阻害因子になりますし、心肺機能低下や夜間無呼吸にも繋がるので、例年のことですが病院経営と同じくスリム化を図って参りたく存じます(いつも意気込みだけは立派でしょ;笑)。
向井千秋 飛行士
宇宙短歌 下の句コンテスト上の句(向井千秋 作);
『宙返り 何度も出来る 無重力』
下の句(受賞作); 下の2つが特にお気に入りです!
『水のまりつき出来たらいいな』
『次に行くのは僕たちの番』
『りんごが落ちないニュートン困る』
『星が瞬き拍手する』
『月の世界で Shall we dance ?』
『りんごが落ちないニュートン困る』
『まかせてみたい動かぬ体』
『乗せてあげたい寝たきりの父』
<<当院リハビリ講義並びに実技指導>>