お知らせ
フレイル予防と「細胞が喜ぶ病院」
2017.06.05 [ 井林院長MonthlyTale ]
170605 6月朝礼訓示 #1706
今月は例年になく学会が重なっています。第1週から3週にかけて、日本心血管脳卒中学会、脳ドック学会、リハビリ医学会、老年医学会と続きます。先週末の第4回心血管脳卒中学会(メインテーマは心・脳血管病のクロストーク)では、心臓循環器/脳血管障害をメインに外科系内科系の専門家が集い喧々諤々の興味深い学会でした。今回はシンポジウム「超高齢者(フレイル)の心・脳血管病の対応」の座長を担当しましたが、過去の単に年齢中心で決めて来た投薬内容や手術適応でなく、個々人のフレイル程度により基準を決め直す時期に来ているとの印象を強く抱きました。
フレイル(frailty:虚弱、脆弱)の概念は半世紀も前の 1968 年に言われ出し、超高齢化社会の先 頭を走る我が国の老年医学会が 2014 年より漸くメタボ、ロコモに継ぐ国民健康維持の3つ目のキ ャンペーンとして盛んに宣伝を始めたところです。日本独自の基準作り(大略は下記)が行われている最中ですが、フレイルは単に年齢で規定されるものではなく、実は3つの様々な側面から形成されています。65 歳以上は准高齢者、75 歳以上は高齢者、そして 85 歳以上は超高齢者と呼称方法こそ変更されましたが、准高齢者の中にも筋力が減少し活動も狭まって来ているプレフレイル〜フレイル該当者はおられますし、定年前後はまだ若くて大丈夫と高を括ってはいけません。特にどうにもならないのは、仕事が趣味でその関連の仲間しかいない状況の“精神・心理的・社会的フレイル”かもしれません(気をつけましょう、男性諸氏!)。加えてお金かけて蓄えた体脂肪をお金かけて落とす(フィットネス)のも馬鹿らしいですが、筋肉を増やしサルコペニアを防ぐには仕方ありません。
先週の院内勉強会では、明治大学理工学部建築学科教授の特別講演「環境と人間の健康について」を伺い(詳細は病院HP参照; http://www.seiai-riha.com/pdf/170529_innaibenkyou02.pdf)、色々なヒントを頂戴しま した。新病院基本設計〜実施設計に変更していく中で病院自体が何かSloganを持って取り組んだ方がいいなと考え直しました。陽光や風景が狭い窓や廊下の先からでもチラッとでも見える、家に居るかのような何だか寛いだ気持ちになれる、壁がただ白いだけの無機質な病室や廊下ではいけない、所謂「老いも若きも細胞が喜んでくれるような病院」というのでは如何でしょうか?
梅雨ももう間近と思われます、、、今年の夏は昨年にもまして猛暑になるだろうとの予測です。入院病床も夏枯れ前なのに少し空きが目立ちます、気持ちに弛みのなきよう頑張って行きましょう。