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苦手な人
2018.10.01 [ 長尾院長MonthlyTale ]
どんな人間にも人の好き嫌いはあります。苦手な人も必ず一人や二人はいるはずです。私たち医療のプロフェッショナルは、どのような患者さんにも同じように接しなければなりません。でもそれはときにとてもとても難しいことです。私も医療の世界に 35 年以上身を置いていますが、いまだにうまく患者さんと波長を合わせることができないことがあります。皆さんもきっと経験があるでしょう。
そんなときどうしたらよいのか、長い間、私もわからずに逃げてばかりいましたが、ある心療内科の医師の一言が私の悩みに一つの解決を与えてくれました。「嫌だなあと思ったら、その人はなぜそんな風に思ったり言ったりするのだろうと考えてみてください。その人の言うことや行ないが、どうしてそうなんだろうと思ってみてください」この言葉は、今でも苦手な相手と向かい合う前に心の中で呟いてみます。
好きになろうなどと思う必要はありません。「この人はどうして?」と相手(または相手の言動)に関心を寄せるだけでよいのです。それだけで、自分の狭まっていた視野が急に広がってきます。それまで相手を感情的にしか捉えることができなかったとしても、なぜという興味を持つことができれば、客観的に見ることができるようになり、苦手意識も和らぐように思います。
私にも苦手な人はいます。そのような人と接するときは、気づかないうちに早くその場を終わらせて立ち去りたいと願っている自分がいます。しかし嫌な時間は、早く終わらせようとすればするほど長く感じるものです。それよりも「どうして?」「なぜ?」と自問しながら話をしていると、少なくともその間は嫌な気分なく過ごせます。目から鱗が落ちるような意外な発見をすることもあります。相手に対する理解が、あなたを縛っている感情的な拘りを解いてくれるかもしれません。
私たちは医療•介護のプロフェッショナルです。相手がどのような人であろうと筋違いのことを言ったりルールを無視したりしない限りは、自分たちにとっての大切な患者さんとして対応しなければなりません。全ての人にそのような対応ができるようになるのは容易なことではありませんが、日々のちょっとしたやり方の工夫でそれに近づくことができるかもしれません。
真のプロフェッショナルは、私的な人付き合いの中でも、魅力的な光を放つものだと思います。みんなで自分をぴっかぴっかに輝きたいものです。