お知らせ
ある病院で
2019.07.01 [ 長尾院長MonthlyTale ]
最近、知人が交通事故で救急搬送され、さる病院の集中治療室に入院したのでお見舞いに行ってきました。
まず、受付の男性にお見舞いに来た旨を告げると、とても事務的なしゃべり方で案内されました。最後に「ご関係は?」と尋ねられたので、「知人です」と答えたところ、「知人の方は入室できません」と、これまた感情のかけらも感じられないしゃべり方で告げられました。
「なんだかなあ」と思いながら同伴の奥さんを集中治療室に案内して、インターフォンを押しますが、反応がありません。入口のドアが開いていたので、中に向かって、「すみませ~~~ん」と大声を出すこと数回。ようやく看護師と思しき男性がやってきて、知人のベッドに案内されました。「え?僕も入っていいの?」とか思いながら、一方では「ラッキー、知らんぷりして入っちゃお」と付いていきました。そこで、奥さんをサポートしながら入院時の手続きを進めて行ったわけですが、これまた、「お前はアンドロイドか?」と思うような担当者の機械的な対応に、だんだん腹が立ってきました。質問に対しても、必要最小限以下の反応しか返ってきません。そもそもこっちの目を見てないし・・・この間、2-3 人のスタッフが入れ替わり立ち代わり現れましたが、みんな同じような失感情状態でした。ところが、この失感情状態が急に変わったのです。
私の知人には糖尿病と高血圧があり、普段から薬を服用していました。薬手帳を持っていないか尋ねられたのに対して、「俺は、薬手帳は嫌いだから持っていない」と答えた時です。キッとまなじりを決し、「こんな時に必要になるので、これからは持っていてください」とやや感情を押し殺したような言い方で言い放ちました。「いや、俺は好かんけん、持たん」と知人。それを聞くや否や、「あなたは嫌いでも、周りの者が迷惑するんです」と宣わりました。
急性期病院は確かに時間との勝負です。私の知人も間違いなく困ったちゃんです。しかしそんな状況だからこそ、医療者の医療者としての心構えが試されるのだと思います。きっとそこの職員たちは疲弊しているのでしょう。患者や家族に優しい言葉をかけるだけの心の余裕がないのでしょう。誠愛リハビリテーション病院の職員をそんな状況に追い込まないことが、私の仕事だと思った次第です。
私は、あの病院は良い病院だと外から見て思っていましたが、将来、患者として訪れることはないでしょう。