私が誠愛リハビリテーション病院に赴任してから一貫して強調していることの一つが「地域重視」の視点です。当院の入院患者のほとんどは、急性期病院からの紹介であり、その意味では地域住民とのかかわり合いはそれほど重要でないという見方もあるでしょう。それなのに、なぜ、「地域重視」なのか？
公的であれ私的であれ、病院は多かれ少なかれ地域に対して社会的使命というものを担っているものだと思います。社会的使命を果たしている限り、その病院は地域にとってなくてはならない存在であり、地域住民共有の財産でもあります。将来の見通しが極めて困難な現代にあって、地域に必要と認識されることは何よりも心強い安全保障であるといえるでしょう。お陰様で最近は、患者さんの側から当院でリハビリを受けたいという希望があって、急性期病院から転院してこられるケースが多くなっているように感じます。
もう一つ、地域重視に関して大切なことがあります。病院が地域に認められるということは、職員の社会的ステータスの向上につながります。社会的ステータスだけではお金にならず、何の実質的な価値はないかもしれません。しかし、自分が勤務している職場が周りから一目置かれるような存在であれば、多くの職員はそれを嬉しく誇りに思えるのではないでしょうか？この「職場に誇りを持てる」ということは職業人として極めて重要な一点であり、あるのとないのとでは大違いであると私は考えています。そして、我が誠愛リハビリテーション病院の職員には漏れなくそのような誇りを持っていただけるようにしたいと考えています。
地域への出前講演、誠愛健康フェスタ、市町村事業への協力、職場体験など は皆、そのための活動です。退院後の在宅生活支援や周囲の介護事業所との関係構築など、これからも地域重視の姿勢は続けて行く予定です。今後はそのような活動をサポートするボランティアが大活躍するようになると予想されます。ボランティアは院内外を問いません。どうか皆さん、地域へ進出する取り組みにどしどしご参加してください。そして、地域住民から「私たちの病院」と評価されるよう、もっともっと地域へ出て行き、住民との交流を深めましょう。
今後は「フレイルのない街」という活動を、当院中心に展開したいと思っています。この計画に興味のある方は、私までお知らせください。力を合わせて新しい道を開拓しようではありませんか！