お知らせ
医療従事者の使命と安全を考える
2020.04.01 [ 長尾院長MonthlyTale ]
新しい年度が始まりました。例年、希望に満ちた明るい話をするように心がけてきたのですが、今年は新型コロナウイルスのために、世の中自体が重苦しい空気に包まれており、あまり能天気な話をしても空回りするばかりかもしれません。そこで今月の monthly tale は、 COVID-19 を契機に、我々医療従事者の使命と安全について考えてみたいと思います。
4 月 2 日の時点で、福岡県のCOVID-19 患者数は 100 名となり、県内に準備されたコロナ専門病床 66 床を超える数になっています。福岡県に限らず、これまでは感染症病床を始めとする専門施設が患者の対応に当たってきました。相手の正体がはっきり見えない中、また自らの感染の危険性もある中、同じ医療者として本当に頭が下がる思いです。しかし、今後も患者数の増加が見込まれるため、新たな感染者を治療する場は一般病床になるでしょう。さらにそれ以上に患者数が爆発的に増えれば、誠愛のようなリハビリテーションに特化した病院も、リハビリとは無関係に新型コロナ肺炎の患者を収容するよう求められると予想されます。そのような状況になれば、専門が違うとか、医療体制が整っていないとか、そんなことは一切理由になりません。そこにいる患者を見捨てる訳には行かないからです。イタリアやスペインで病院の廊下にマットを敷いて寝ている患者さん達を皆さんもテレビで見たことと思います。我々は医療従事者である以上、逃げ出すことはできないのです。
しかし、医療従事者の命も、患者さん達の命と同じようにかけがえのない大切なものです。誠愛職員の、そしてその家族の安全を守ることは、私の院長として最も重要な任務の一つで あると心しています。決して無防備な形でウイルスとの戦いに送り出すようなことはしません。能う限りの感染防御装備を整え、考えられる限りの感染防御策を講じて皆さんを守ります。どうか必要以上に恐れることなく、今からできることは石松副院長の指揮の下、しっかり準備していきましょう。
最後に医療従事者として大切なことをもう一つ繰り返します。999 人の真面目な人が感染予防策を遵守していても、たった一人の不心得者がいればそこからウイルスが院内に入ってきます。「絶対に院内にウイルスを持ち込まない」という職員一人一人の強い気持ちがなければ、誠愛リハビリテーション病院はウイルスの餌食になるでしょう。同じように国民の一人一人が未曾有の覚悟を持って身を処し、この国難を乗り切らなければならないと心の底から思っています。どうか医療従事者としての誇りと責任をもって行動していただきますよう切にお願いいたします。
長尾哲彦