お知らせ
新型コロナウイルスの光と影~影を落とす人と光で照らす人~
2020.05.01 [ 長尾院長MonthlyTale ]
福岡県では新たな新型コロナウイルス患者が明らかに減少しており、少しトンネルの出口が見えてきたような気もします。しかしここで敵を完全に封じ込めておかないと、すぐにまた第一波と同じように急激な患者の増加が予想されます。ここは油断せずにもうしばらく、粛々と感染防御に努めましょう。
新型コロナウイルスに関する報道を見ていて思うのは、この危機に対する反応の仕方が大きく分けると二つあるということです。報道番組制作者の意図もあるのでしょうが、インタビューを受けた多くの国民は、「子供が学校に行かないので困る」「外出できないのは大変なストレスだ」「売り上げが激減した。早く何とかしてくれ」と不満を口にしています。
他方で同じような状況にありながらも、何とか社会のため、人のために尽くそうと頑張っている人もいます。自分たちが手作業で作っている製品を、町の人の手洗い用に寄付している石鹸工房のオーナーがいました。従業員は知的障がい者たちです。「障がい者たちが仕事を失うことがないように、そして普段からお世話になっている町の人たちへの御礼の気持ちを込めて」仕事を続けていると言っていました。また、患者のケアで食事のために外出する時間もない医療職の話を聞いて、弁当を無料で配達するサラダショップのオーナーがいました。子ども食堂を細々と守り続けている女性もいます。この方々は不満を口にする人達よりも恵まれた環境にあって楽な暮らしをしているからこのようなことができるのでしょうか?
明日からの生活が行き詰ってしまうような切実に困っている人が居て助けを求めていることは事実であり、そのような人を救うことは極めて大切なことです。辛さを口に出すことが悪いとも思いません。それで気が少し楽になり、また頑張れるなら必要なことと言えるでしょう。ただ同じ環境で同じような状況にあっても、それに向き合う人の姿勢次第で、道に影を落とすことにもなるし、明るく照らすことにもなりうるということです。どんな状況であっても不平不満を言う存在であるよりも、世の中に少しでも光を投げかける存在でありたいとは思いませんか?私たちは医療者です。医療を通じて社会に貢献することはもちろんですが、たった 1 つだけでも良いので、何か世の中を明るくすることを考えて実行してみようではありませんか。何か誠愛リハビリテーション病院発の心がほっと和むような社会貢献ができないでしょうか?みなさんの素敵なアイデアをお知らせください。院長宛のメールでもお手紙でも結構です。楽しみに待っています。
長尾哲彦