お知らせ
愛想笑いは病院の敵か?
2020.09.01 [ 長尾院長MonthlyTale ]
先日のテレビ番組で日本在住の外国人たちが、日本人の愛想笑いについて議論していました。「自分の祖国では、店員が客に何しに来た?と言わんばかりの対応をするので、日本人のフレンドリーさはとても気持ちが良い」という人が居る一方、「最初は自分もそう思っていたが、その笑いが本当の笑いではないことを知り、逆にとても嫌な感じがするようになった」という意見もありました。
私自身は店で不愛想な対応をされるより、たとえ愛想笑い・作り笑いとわかっていても、笑顔で迎えてもらう方が良いと思うので、自分の外来診療もなるべく笑顔を忘れないようにしていますが、人によって受け取り方が様々なんだなあと改めて思いました。
確かにそういう気持ちで我が病院内を歩いてみると、同じ笑顔でも随分印象が違うもんだと感慨を新たにしました。自分の一日をぱっと明るく照らしてくれるような笑顔もあれば、こちらの気持ちまでどんよりするような硬く引きつったような笑顔もあります(ニコリともしないという人もいますが・・・)。確かに一旦気にするようになると、愛想笑い、作り笑いは不快感を招く恐れもあるでしょう。受け取る人によっては、愛想笑いは病院の敵ともなりかねません。だったら、無理に院内で笑おうと努力したりしないほうが良いのかも?野球もゴルフもテニスもそうでしょうが、素振りは上達の秘訣です。日本の武道、すなわ ち剣道、柔道、空手などには型(形)稽古という練習法があります。基本の動きをしっかり身に着けるために繰り返し行うものです。今、素敵な笑顔を人に向けることができない人は、まずは笑顔の型稽古(すなわち愛想笑い)から始めるしかありません。初めは引きつった笑 いかもしれません。でも、口元に微笑を湛えるのがその人の日常になると、笑いは自然に心からあふれてくるように思います。
私の知人に「あの人は綺麗に笑うね」と褒める人がいます。綺麗に笑うというのは最高の褒め言葉だと思います。そしてその人もとても綺麗に笑うことができる魅力的な人です。
長尾哲彦