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表と裏
2021.07.01 [ 長尾院長MonthlyTale ]
人は誰にでも長所と短所がありますね。「いやいや、俺様には短所なんてないよ。細胞一つ一つが長所からできているから」と思っている人はいないと思いますが、いるとしたらそう思っていること自体が短所であります。
最近の新入社員の履歴書などを見ると、自分の長所をがっつりアピールしていますが、自分の良いところはしっかり売り込めと社会の方向性が変わってきているのだと感じます。ただ、読んでいてその売り込みに感動させられないのは結局みんな同じような売り込みになってしまうからでしょうか?
長所と短所で言えば自分の短所を気にする人の方が多いのではないかと思い ます。とくにどちらかというと控えめな人で「自分は~だから」と自己規定してしまって自分自身で成長を止めているケースが多いように感じます。仕事が遅いはおだやか、せっかちは仕事が速い、優柔不断は人の言うことに耳を貸す、とそれぞれ裏返せば少しだけ自分のやり方を変えるだけで立派な長所になります。
同じことは個人だけでなく組織についても言えるのではないでしょうか?組織としての性格というのはあまり意識することはないかもしれませんが、やはり歴然と存在するものだと思います。皆さんは私たちの病院の性格がどのようなものか考えたことがありますか?この組織の良いところは、とてもまじめで規律をきちんと守りながら仕事を確実に遂行するという点にあると思います。昔ながらの日本の組織らしい慎ましやかさというようなものを感じます。これは誠愛リハビリテーション病院の職員が長い年月をかけて築き上げてきた貴重な文化ですので、是非とも大切に守っていたいただきたいと思います。他方、このような文化は裏を返せば創意・工夫や自発性に乏しいという負の一面と隣り合わせです。率直に言って、この組織にはもう少しそういった意味での元気があればと感じています。まじめで規律を守るという長所と創意・工夫や自発性が足らないという短所は表裏の関係にはありますが、決して両立しないものではないと思います。
現場のことは現場の人が一番よく知っています。そこから生まれるさまざまなアイデアを現場の人間が声にし、それを現場の管理者が取り上げて実現のためのサポートをするという職場文化を育てることが大切なのではないかと感じています。職員それぞれの思いは小さなつぼみのようなものでしょう。それを陽や水を与えて育て、1 つの花を咲かせ、さらに多くの花を咲かせ、病院の中に職員の思いに満ちた花が溢れるような組織に育ってほしいと願っています。一度、このテーマについてそれぞれの部署で話し合いの場を持ってもらえませんか?
長尾哲彦