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人の評価
2021.10.01 [ 長尾院長MonthlyTale ]
物事の評価は様々です。同じ発言一つを取り上げてみても、一方で大炎上するかと思えばもう一方でそれを擁護する意見も必ずといって良いほどあります。ですから、誰かにボコボコになるくらい非難されても、それは必ずしもあなたが悪いということには直結しません。自分で正しいと思って行動していることについては、人の意見を一々取り入れてやり方を変える必要はありません。これをやりすぎると、今度は「一貫性のない人」「信念のない人」という、まことに有難くなり評価を受けてしまいます。そもそも非難している人は、その行動をとるに至った状況を必ずしもしっかり把握しているわけではありません。事情を聞いて、「そうだったのか」と意見を変えることも少なくありません。
しかし、非難や批判を受けたときに、必ず一度は立ち止まって自らを振り返るという作業はとても大事だと思います。他人が批判的な評価を下すときには、それなりの理由や合理性があるはずです。火のないところに煙は立たないとも言います。そのような判断を下すに至った「物事の筋」という目で自分の行動をもう一度眺め直してみると、どこかに修正すべき点というのが一つくらいは見えてくるものです。
他人から良い評価を戴いたときに嬉しく感じるのは人として当然のことですが、批判的な評価を受けたときに、いい気持になる人は少ないでしょう。でも、褒められて自分の長所を伸ばすよりも、批判されてそれを修正することの方が、個人としても組織としても成長の度合いは格段に大きいと言えます。批判を受けるごとに一つ一つ改善していく作業を続けると、1 年後に人や組織はどんなに大きく成長しているでしょうか?
人事評価も、投書も、上司の指導も全て自分に足らないことを教えてくれる貴重な機会であると言えます。しかし一方が弱点や欠点をあげつらい、他方がそれに反発するだけで終わっては何もなりません。後味の悪さが残るだけです。それよりも、相手の成長を願って批判し、批判されたら成長機会を与えてもらったと感謝する思考回路を養成したいものです。この回路が自動的に働くようになると、個人も組織もどんどん成長していきます。とくに外部の方々からの投書は、一見、無理難題を押し付けているように見えることが多いのですが、組織内の人間だけでは決して超えることの出来ない仲間意識という「見えない壁」を破る上でとても大きな意味を持っていることがあります。その意味で、投書を大切にする病院文化を育てたいと常々思っています。
現在、院内ではプロジェクトチームを発足させ、スタッフに対する客観的評価方法を検討しています。これは個々のスタッフが職業人として、さらには人として成長していくための手がかりを提供するためのものです。時間をかけて良いものを作り上げ、職員が「このシステムはありがたい」と言ってくれるようなものにしたいと思っています。
管理者研修会の中でも言いましたが、私が皆さんに呼び掛けていることは自分ができていること、やっていることとは限りません。むしろできていないことの方が多いでしょう。自分自身への自戒を込め、皆さんと方向性を共有したいと思いつつメッセージを出しています。私が当院に赴任して 3 年半になりました。ここらあたりで一度、皆さんからの通信簿を戴き、自分に足らないところ、自分の弱点を見直し、今後の業務に活かして行きたいと考えています。近々、アンケートを実施しますので、どうかどうか、忌憚のないご意見を寄せてください。「称賛より批判が肥やし」との思いで謙虚に皆さんの評価を読ませていただきたいと思っています。
長尾哲彦