お知らせ
病院の収入と職員の収入
2022.01.01 [ 長尾院長MonthlyTale ]
新年あけましておめでとうございます。年末年始はいかがお過ごしだったでしょう?心機一転、良い休暇を過ごせたでしょうか?ただ、その間も患者さんのケアを引き受けて、病院業務を支えてくれた多くの職員に深く感謝を致します。
先月お約束したように、病院運営に関する私の考えや方針を少しずつお話ししていきたいと思います。それがアンケートで寄せられたご意見に対する答えの一部になることを願っています。今回は病院の収入と職員の収入についてお話しします。
資本主義社会では、雇用者が労働者の提供する労働から利潤を得て資本を増やしていくという構図があります。マルクスはこれを労働者からの搾取と考えました。この構造が病院内に持ち込まれると、病院(幹部)が職員から搾取して富を生み、それによって私腹を肥やすという形になります。果たして誠愛リハビリテーション病院ではどうでしょうか?
家庭では入ってきたお金を家族の生活のために消費するとともに、将来の家の購入・修理・建て替えなどのために貯金をして行かなければなりません。お父さん、お母さんは何とか収入を増やそうと努力しながら、制約の中で使えるお金を家族内で分配しています。病院も全く同じです。将来必要なお金を貯金に回せば、職員に分配できるお金は自ずと決まってきます。その中で誰かの給与を上げるためには将来のための貯えを減らすか、誰かの給与を減らすか、それ以外の所で倹約するかしかありません。同様に職員を増やすということは一人頭の給与が減ることに繋がります。給料が上がらない、人が足らないというのは必ずしも病院が搾取している結果ではありません。法人内においては、幹部も一般職員も同じ船で航海している仲間であり、そこに対立の構図はないのです。私自身も病院から雇われている身であり、その点では皆さんと同じ仲間だと思っています。個人的には給与もたくさん出したいしマンパワーも十分補充したいという気持ちは山々ですが、そんなことばかりしていてはあっという間に経営破たんに陥ります。「そこのところの舵をきちんと切ってくださいね」と職員から経営をゆだねられているのが私たち病院幹部だと自覚しています。
ただ、頑張った人とそうでない人が同じ報酬で良い訳がありません。そこは何とか皆が認める形で評価を行い、給与などに反映させる努力は必要だと考えています。ただ、「誰もが認める評価法」というのが非常に難しいので、ここは皆さんと知恵を出し合いながら時間をかけても少しずつ変えていきたいと思っています。
現在、病院の経営状況は決して悪くはありません。しかし新型コロナ感染症の動向次第では容易に苦境に立たされるリスクを常に背負っています。また日用品の値上げが相次いでいるのと同様に、新病院の建築費用も高騰しています(当初予算の約 2 割増し)。放蕩経営で次の世代に法外な借金を背負わせるようなことはしてはならないと自らを戒めています。
最後に私自身のことを言えば、ここ 2 年間あまりで使った病院の交際費はゼロです。理事長も似たようなものです。これは自慢でもなんでもなく、各部署の皆さんが一生懸命倹約し、古い備品も大切に使い続けてくださっていることを承知しているだけに、1 円たりとも無駄にはできないと思っている結果です。このような考え方は、誠愛リハビリテーション病院のよき伝統にして行きたいと思います。
来月は、少しでも皆に配分できるお金を増やすための方策についてお話ししたいと考えています。
長尾哲彦