新しい年度を迎え、そして新しい仲間を迎えて、院内の空気も一新したかのように感じます。幸い新型コロナウイルス感染も落ち着いており、新人を迎えるのに適した仕事環境に戻っていて一安心です。
新年度を迎え、誠愛リハビリテーション病院ではいくつかの新しい試みを始めようとしています。具体的に言えば、人事考課、インドネシアからの介護スタッフ導入、管理職教育システム導入、臨床治験などです。今日はその中で職員全員に関わる事業である人事考課について説明します。
言うまでもなく、世の中は全て人の評価の上に成り立っており、動いています。入学試験しかり、テレビの視聴率しかり、食べログしかり、全ての仕事は人の評 価を受けて初めて認められるのです。確かに自分の仕事に誇りを持つことは大 切です。しかし同時に人からも評価されるのでなければ、独りよがりに過ぎません。
このような観点から、自分の仕事が他人からどのように評価されているか知ることは、自分自身を見直す非常に貴重な体験となります。自分の強みを他人も同じ様に高く評価してくれているのか？自分で気づかない弱点やセールスポイントはないのか？そのようなフィードバックなしに成長することはなかなか難しいことだと思います。
そこで当院では私もふくめて職員全員を対象に相互評価を行うこととしました（1 年目の職員は除きます）。目的はあくまでも個々の職員の成長のためのフィードバックです。決してそれで序列を付けたり、評価の低い人を貶めたりするためのものではありません。しかし、そこに現れた評価に沿って人事や報酬を決定することは、組織運営としては公平なやり方だと思います。逆にそれがなければ、逆に不平等感が募り、誰も頑張って仕事をしようとは思わなくなって組織が低迷し、皆の暮らしが悪くなるからです。
問題はいかに公平に評価を行い、プライバシーを守りつつも上手にフィードバックするかということでしょう。それらの点には十分配慮したつもりですが、改善の余地のない決まり事などありませんから、みんなでさらに良いシステムに改善して行くことも必要だと考えています。
多くの方々は評価されることが気になっていると思いますが、同時に評価する側にも回りますので、どうか公平な評価を心がけてください。決して好き嫌いで判断するのではなく、決められたルールに従って可能な限り客観的に評価してください。自分が評価する人のことを良く知らないというケースもあるでしょう。その時は「良く知らない人なので評価できません」と辞退することも可能です。
このような取り組みにより自分の長所を伸ばし、短所を補うことができれば何よりですが、辛い評価を貰う人も当然出てきます。そんな人たちに声を大にして言いたいのは、自分に対する他人の評価がどうしてそのようになったかを謙虚に見直して、次年度は大きく巻き返してやるぞと思って欲しいということです。自分で考えることが先決ですが、どうしても腑に落ちないときは上司などに相談しながら、成長の糧にして行ってほしいと心から願っています。
結果は年度末に集計して、次年度初めに本人と上司に通達する予定です。繰り返しになりますが、職員個々の成長が目的であり、その結果、患者さん達により良い医療を届け、多くの患者さんに当院を選んでいただき、職員の心も生活も豊かになっていくことを目指しています。どうかよろしくご協力の程お願いいたします。

長尾哲彦