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ハラスメント
2025.06.02 [ 長尾院長MonthlyTale ]
ハラスメントという言葉を辞書で調べてみると、「迷惑をかけること」とか「嫌がらせをすること」などと書かれています。権力に物を言わせて圧力をかけるのがパワー・ハラスメント、性的な嫌がらせはセクシャル・ハラスメントで、パワハラ、セクハラと日本語の一部になっています。少し前から、お客さんが主役を演じるカスタマー・ハラスメントが知られるようになりましたが、最近は医療機関で患者さんやその家族が医療者に対して行うペイシェント・ハラスメントがマスコミで取り上げられることが多くなりました。
このペイシェント・ハラスメントは結構歴史が古く、ある程度の期間、医療従事者として働いていれば、経験したことがあるという人の方が多いだろうと推察します。しかし、医療の場において患者さんは弱い立場であり、医療従事者は患者さんに優しく接するのが当然という暗黙の了解のもと、たくさんの医療従事者が辛い思いをし、時には仕事に出てくることさえできないほど追い込まれることもありました。
もちろん、患者さんたちは病気を抱えて辛い日々を送っているわけですから、できる限り希望に沿って差し上げるのは医療者として当然のことです。しかし限度を超えた要求やクレーム、人間の尊厳を踏みにじるような言動はいくら患者さんであっても決して見過ごしてはいけないと思います。そんな時の第一歩は、私達ができることとできないことをきちんと説明して、病院運営に協力してもらえるように、依頼することです。もしも協力が得られない場合には毅然として治療契約を打ち切る勇気も必要です。病院としては大切な職員をズタズタにされたり、病院運営に支障が出たりするようなことは断じて許してはならないと考えています。
当院でも患者さんやその家族からハラスメントを受けたときは、上司に報告して病院として対応することを原則としてきましたが、残念ながら後手に回ることが少なくなかったと反省しています。今後はペイシェント・ハラスメント対策チームを結成して、現場で治療に当たっている職員が対応に追われなくても済むようにいたします。皆さんはハラスメントにあったらすぐに上司に報告してください。そこから先は対策チームで方策を考え、実行に移します。患者vs職員個人ではなく、患者vs病院の構図になりますので、現場の皆さんは、本業に専念していただくことができると思います。
これから対策チームを結成し、業務の流れ、役割分担などを決めることになりますが、1日でも早く効果的なペイシェント・ハラスメント対策ができるよう、そしてその結果、職員を守ることができるよう、環境を整備していきたいと思っています。どんな些細なことでも、辛いと感じたら、まずは上司に相談してください。

