お知らせ
新しい病院理念
2021.11.01 [ 長尾院長MonthlyTale ]
組織の理念というのは、その組織が目指している方向やゴールを示すもので、構成員一人一人がそれを規範として行動する羅針盤のようなものです。ですから、理念を見れば組織が何を大切にして活動しているかがわかると言えるでしょう。しかしどの組織も言葉の上では立派な理念を打ち立てているものの、それが生きた規範として構成員の在り方や行いを決定しているかと問われれば、そうでないことの方が多いように思います。理念は常に構成員の心の中に生きており、一人一人の毎日の活動のベースとなり、困った時の道標になるものであって初めてその存在価値が現れるものでしょう。
我が誠愛リハビリテーション病院でも、開院当初に立派な理念が打ち立てられ、バックボーンとして本院を支えてきました。しかし、時代の変遷とともに組織が求められる役割も変化し、理念も新しい価値観に基づいて変える必要に迫られることもあります。創始者の精神は大切にしつつも時代に即したものに変えることで、理念は構成員の中で生き続けるのだと思います。そのような意味において、誠愛リハビリテーション病院の理念も見直す必要があると個人的にはずっと考えていました。
本来は新病院が建って新しい理念とともにスタートすることを念頭に置いて いましたが、それにはもう少し時間がかかりそうです。そこで、この度、井林理事長にお願いして新しい理念を作っていただきました。依頼に当たってお願いしたのは、「職員が何かにつけて思い出し、自分の行動を決める指標になる思想を短い言葉で表現してください」ということでした。とても難しい要求でしたが、そんな私の思いにぴったりな理念を作っていただきました。
誠愛リハビリテーション病院の新しい理念は「誠愛なる医療」です。「何だ、まんまじゃん!」と思う方も多いでしょうが、今まで皆さんは「誠愛」の意味を掘り下げて考えたことがあったでしょうか?誠愛の「誠」は「まこと」ですね。嘘偽りなく誠実に向かい合うという意味ですので、理事長や私がいつも言っている、「インチキをしない」ということにぴったり重なります。「愛」は今さら説明する必要もないことですが、医療者にとっての「愛」は男女や親子の愛を超えてもっと広く、とくにいろいろな意味で弱い人たちに向けられる感情かと思います。「思いやること」「慈しむこと」「愛おしむこと」などに繋がる精神ではないでしょうか。そして「誠」も「愛」も患者さんに対して向けられるだけではなく、仕事仲間対しても然り、さらに言えば自分に対しても向けられるべきものではないかと考えています。
どうか皆さん、朝の仕事を始める前に「誠愛なる医療」という言葉を唇に載せて、少しだけその目指すところを考えてみてください。また判断に迷う時にもこの理念を思い出して、自分が取るべき道に光を当ててください。この新しい理念が職員の気持ちを一つに纏めてくれる道標になることを心から願っています。
長尾哲彦