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立ち止まって考える
2023.05.01 [ 長尾院長MonthlyTale ]
新人の皆さんも入社当初は緊張の連続だったと思いますが、1 か月間のオリエンテーションを通して、誠愛リハビリテーション病院の目指している医療像が少しずつ見えてきているのではないでしょうか。どの医療機関もそれぞれに目標とするゴールがありますが、それらは究極的には「良質な医療の提供」という点に集約されるのでしょう。そのゴールに至る過程で、「誠」と「愛」をとくに大切にしましょうというのが「誠愛なる医療」、すなわち当院の理念ですね。判断に迷ったときは、自分が考えている行動が誰に対しても誠実で嘘がなく、広い愛に支えられているかどうかを自問してください。きっと道が開けてくると思います。
院内にはいろいろな決めごとがあります。以前から決まっている こともあれば、新たなルールも日々付け加えられています。それらの決まり事を耳にしたときに、「え!なんで?そんなのおかしくない?」と感じたことはありませんか?「病院の理念では”愛”とか”誠”とか言っているくせに、現実は全然違うじゃないか!」と憤ったことはありませんか?おそらく、そう思ったことがあるという人は少なくないでしょう。私がそう思うのは、物事には常にいくつかの顔があると思うからです。
例えば残業を例にとってみましょう。仕事内容は部署ごとに違うので、残業のルールを具体的な仕事量に基づいて規定することは困難です。しかし、部署ごとに残業に対する考え方や運用があまりにも異なっていると、当然、部署間に不公平感が広がります。ある部署にとっては残業として当然認められるべきと思われることも、他部署と比較した場合には受け入れられないこともあるかもしれません。そうなると、みんなが納得できる共通のルールのもとに運営するしかありません。病院全体を俯瞰することなしに、自分の周りだけを見ていると、「え!なぜ?おかしくない?」となることもあるでしょう。
物事には一見、とても理にかなっているように見えても、よくよく 考えると不公平な面や不合理な面が見えることが少なくありません。またその逆もあります。ですから、なぜそのような決めごとができたかということを、上司は丁寧に説明する義務があると思います。また、不合理を感じたときに「どうせ病院は一人一人の職員のことなんて 考えていない」などと切り捨ててしまわずに、しっかり話し合いの場をもって、全ての職員にとって公平で合理的な解決策を創り出す必要があります。それが民主的な組織の在り方であり、「誠愛なる医療」を標榜する我が病院が目指すところでもあります。職員のみなさんに「なぜそうなるのですか?」と問われた時に、私たち管理職が胸を張って説明できること、それこそが病院職員に対する「誠」であり「愛」であると考えています。
組織は管理職が作り上げるものではありません。組織の一人一人が不公平感なく最大の能力を発揮できるように、みんなで築き上げていくものだと思います。決めごとに対して「なぜ?」と思ったときはちょっと立ち止まってその理由を考えてみてください。それでもおかしいと思うときは対立の姿勢を取るのではなく、まずはじっくりと話し合いをして解決していきましょう。管理者は部下の意見に謙虚に耳を傾けて、丁寧に説明してください。そんな職場文化が誠愛リハビリテーション病院の中に定着するよう、私自身も努力していきたいと思います。
長尾哲彦