お知らせ
新しい仲間を迎える
2023.06.01 [ 長尾院長MonthlyTale ]
皆さんもご存知のように日本は少子化の影響もあり、多くの業種が人手不足に悩んでいます。医療介護業界はとくにその傾向が強く、わが誠愛リハビリテーション病院でも同様に職員の確保に頭を痛めています。人手不足はこれからも続く、いやもっと厳しくなると予測されます。良い人材が集まる組織は、組織としての魅力に溢れているのだと思います。魅力とは何かというと、給与などの経済的待遇が良いことはもちろんですが、それ以外にも、働きながら自分が成長できるとか、職場環境が良いなど様々だと思います。当院も少しでも職場としての魅力を高めていく努力を続けなければならないと考えていますが、一朝一夕にできることではありません。並行して当面の人手不足を解消する手立てを考えなければなりません。
そのような背景からこの度導入するのが、インドネシアの看護師を技能実習生として雇用するという仕組みです。6月 16 日から5人の女性が当院の介護スタッフとして入職します。すでにインドネシアで看護師免許を取得しているので、医療介護の素人ではありません。国の違いによる差異はあるにせよ、技能的にはプロフェッショナルと呼べる人たちです。しかし何といっても全くの異国の地で、習い始めて2年程度の日本語で仕事をしなければなりません。それはおそらく我々が想像する以上の大きな試練だろうと思います。
彼女たちとは昨年、ZOOM 会議で言葉を交わしました。当時は簡単な会話ができるレベルの日本語を操っていましたが、あれから 1 年余りを経て、日本語はさらに上達していると思います。しかし、日本語は世界の言語の中でもとりわけ難しい言語として知られています。実際に仕事の現場に入ると、聞き取れないことや上手く言えないことがたくさんあると思います。人間は言葉が不自由な人をあたかも知能が低いかのように知らず知らずのうちに見下す習性があります。しかし失語の患者さんがそうであるように、決して言葉が通じない=知能が低いではありません。その点はどうかしっかり心にとどめ置いてください。
インドネシアからやってくる彼女たちにとって、誠愛リハビリテーション病院は日本という国の縮図です。みなさんが同じ人間同士として敬意をもって親切に接すれば、彼女たちにとって日本という国はとても素晴らしい国として一生記憶に刻み付けられるでしょう。もちろん、その逆も然りです。どうか皆さんは日本という国を背負っているのだという気持ちを忘れずにお付き合いをしてあげてください。
彼女たちと話していて印象的だったのは 家族のために日本で頑張る」という言葉を何人もが口にしていたことです。家族のために本国でのキャリアを捨ててまで日本にやってくる彼女たちは、それだけでも十分に尊敬に値する存在だと思います。
国や民族が違うと風習や考え方や礼儀など異なることが多々あります。とくにイスラム教徒は我が国に多くないので、皆さんが戸惑うことも少なからずあるでしょう。しかし自分と異なる文化や考え方を排除していては対立しか生まれません。違いを乗り越えてお互いを尊重する態度を身に着けることで、誠愛リハビリテーション病院の魅力は必ずやもう一段高くなると思います。
どうか皆さん、。我々の人手不足を助けに来てくれる新しい仲間たちを、当院 の理念である 誠にして愛しむ」という心を持って温かく迎えてあげてください。
長尾哲彦