今年もまた暑さの記録が次々に塗り替えられているようですが、この調子で地球の気候が急に変わっていくと、今の若い人たちや、その後の世代の人たちがどうなっていくのかとても心配になってしまいます。先日、外来でご高齢の男性に「クーラーなどを適宜使用して熱中症に気を付けてくださいね」と言うと、「クーラーはありません。水風呂に何度も入っています」とのお返事でした。改めて、私たちは恵まれていると思ったことです。資源の浪費が地球を破壊しているということを常に念頭に置いて、次の世代に、美しく住みやすい地球を残すことが、私たちの責務であると考えるこの頃です。

　皆さんは地球にやさしいことをしてますか？自分でできていると思っていても、客観的に見ると意外にできていない人も多いのではないでしょうか？その逆もあるかもしれません。自分のことを自分で評価するというのはなかなかに難しいことです。また、仲間内での評価は外部から見ると甘々ということになりがちです。長い間、同じ職場で働いていると、それが評価の基準になって、世間から取り残されるというわけです。「井の中の蛙、大海を知らず」というのは荘子の言葉ですので、紀元前3-4世紀から、人間が陥りやすい罠として注意喚起がなされていたのですね。

　「井の中の蛙」になってしまわないためには、外部評価が役に立ちます。当院でも病院機能評価を定期的に受けていましたが、私が院長になったころから中断しています。それは、外部評価が大切なことは重々承知しているが、それにかかる職員の労力と費用とが、それによってもたらされる利益と比較してどうであるかという観点から判断したことです。外部評価が全然ないというのも、健全な状況ではないと思います。

　本来は院外の評価者に現場を見てもらうのが理想的なのでしょうが、まずは院外事情も比較的知っている院内スタッフが現場を見て回るということを始めたいと思っています。院長直轄の委員会とし、もちろん私もそのメンバーに入ります。院長は可能な限り現場のことを把握しておかねばならないという私の信念に基づくものです。強調したいのは、各部署のあら探しではなく、少しでも良い医療を提供できるように、建設的な提案をするのが目的であるということです。早速、今月から始めます。名前がないと不便なので「これで委員会」とさせていただきます。よそ行きの業務ではなく、普段着の仕事ぶりが見れるのも院内組織ならではの特長と言えるでしょう。業務の差支えにならないようにラウンドするつもりですが、お困りの時は「そこ、邪魔です」と優しく声掛けをしてくださいね！これも今年度の私の「挑戦」の一つです。

　最後に「井の中の蛙、大海を知らず」に続けて「されど空の深さを知る」ということもあります。誠愛リハビリテーション病院ならではの優れた伝統や作法は大切に育てていくつもりです。