お知らせ
桜花の中での入社式
2010.04.05 [ 井林院長MonthlyTale ]
100405 4月朝礼訓示 #1004
新年度です。病院玄関周辺の染井吉野の桜花もすでに散り始め、花粉の種類 が早くも変わるなど春がいつもより早く過ぎて行くように思います。実際、例年5月の連休前まで続く杉花粉が今年は意外に早く収束し、檜花粉が早めに流行っているようです。しかし考えるに、年中色んな花粉が飛んでいるので、花粉症の方々は呉々もご用心下さい(c.f.例年の九州地域の植物花粉の飛散時期)。
久々に夜桜観賞の宴に行きたいと思っていましたが、このところ週末の夕方は肌寒い日が多く、今年は行き帰りの車窓から、あるいは病院の会議室の窓から眺めるだけに終わってしまいそうです。併設の介護老人保健施設カトレアの壁面のピンク色に同化するかの如く、ちょうど今満開で美しく咲いている枝垂れ桜の木は一見の価値ありです(今朝、朝礼直後に撮った写真です)。
一方、立体駐車場入り口の両側にある一対の桜の木は、車の出入りのポール開閉の邪魔になるのか、いつの間にか太い枝が切られてしまいましたが、今年もちゃんと綺麗な花を咲かせています。昔から、「桜切るバカ、梅切らぬバカ」と言いますが、これって本当なのでしょうか?「桜は切り口から腐りやすいので剪定は避けた方が無難で、梅は切り口の回復が早く強い木なので、樹形を作るためには太い枝を切っても大丈夫で、むしろ剪定は欠かせない」といった意味ですが、医学やリハビリ同様、樹木の診断治療の世界も進歩しているのでしょうか、、、切り口に特殊な抗菌性のクスリが塗布してあるのかも知れません。
次頁に先週の入社式のお話を掲載しました、今月も頑張って参りましょう。
<100401 入社式でのご挨拶>
平成22年4月1日、本日は新人の皆さんの栄えある入社式、誠におめでとうございます。当院ならびに患者さん方のために、ここにお集りの全ての職員の方々も、今日からまた初心を思い起こし一緒に力を合わせ、誠実さと愛情を込めて明るく元気に心身ともに頑張って戴きたいと思います。
自分自身も就職して丸2年が経過し、御陰さまで然したる大事故もなく3年目の年度初めを迎えることができました。春の訪れを知らせる、満開の桜、鶯の音、春霞その他の麗らかな気候、これら全てが平成22年度の始まりを祝ってくれているように感じます。新人の方々は、初めのうちこそ慣れませんので、手取り足取り先輩方が教えてくれるでしょうし、多少失敗をしても大目に見て貰えますが、数ヵ月も経てば皆さん個々の責任のもと色々な事を学び乍ら、対処して行かねばなりません。当院は、殊に脳卒中などで身体や言葉の不自由な患者さんが多く入院しておられ、一般の病気以上に気を遣うのではないかと思います。世の中には、善し悪しは別として気の付かない人、気の利かない人が確かにおられますが、これも日々の努力次第で十分変えることができると思います。鉄と同様、若くて気持ちの熱いうちに、早く自分のmentor(良き師)と仰げる方を見つけ、鍛え磨き上げるよう人の2-3倍は努力して欲しいものです。同時に、何事も上司に対して報告/連絡/相談(いわゆる報連相)を忘れない、そういう癖をつけてスムースな人間関係を築くことも重要だと思います。
脳卒中に関して言えば、大病院での急性期診断治療が陽の当たる表参道だとすると、当院のような回復期さらには維持期リハビリ治療主体の後方病院は、未だ未だ日陰でクネクネ曲がった細い裏道ではないかと思ったりもしました。然し乍ら、3時間以内の血栓を溶かすクスリは全体の脳梗塞発作のわずか2%にしか使われておらず、その人達を含めてもその後に待っているのは長くてきついリハビリと再発予防に向けての包括的医療です。手足や言葉がままならなければ、いくら精神的に頑強な人でも気持ちの上では折れそうになったり、やる気を失ったり、鬱状態になりがちです。かかる本人も気付き得なかった弱い面に対する、皆さん方の360°周囲から包み込むような細やかなサポートが大変重要な疾患であろうと認識しています。麻痺があれば転倒しやすく、また物の飲み込みも悪くなり(誤嚥)、高齢者では骨折や肺炎など廃用症候群や認知症に進展する場合も少なくありません。
これからは、1つの病気に対してチーム医療による継ぎ目のない(seamless)一連の流れに沿ったやり方が主流になって行くことでしょう。また、リレー方式を利用した一見効率の良い診断治療に繋げて行く「連携パス(criticalまたは clinical path)」が花盛りになって行くと思われます。かかる時代だからこそ、急性期と超慢性期の間に挟まれた要の部分を任された我々は、不安一杯の患者さんに対し暖かく優しい気持ちを忘れず、確固たる自信と自負を持って頑張り続けなければいけないのです。皆さん、本年度も大いに期待しています。